山口新(DJ ASH)

ー 自己紹介をお願いします。

山口 : 北陸の富山を拠点にハウスやエレクトロなどのジャンルでDJ活動をしているDJASH(アッシュ)です。宜しくお願いします。

ー DJを始めたきっかけを教えてください。

山口 : 最初のきっかけは金沢のクラブに遊びに行ったことですね。学生時代から音楽が大好きで、社会人になって友達と金沢のクラブに遊びに行きました。その時に、たまたま富山でDJをしていた方に声をかけてもらい、富山のクラブにも遊びにいくようになったのがきっかけでした。


ー お客さんから演者というきっかけだったんですね。よくあることなんでしょうか。

山口 : そうですね…。当然音楽好き、イベント好きな人が来るものなので、良くある話に思いますね。ライブイベントに行ってバンドマンに憧れるようなもので、同じ感覚だと思います。

ー テレビに映るタレントやアーティストに憧れるように、クラブややイブハウスだとダイレクトにその感動が伝わりそうですね。

山口 : クラブは社交の場でもあり、少し音楽だけの場所とは違うところもありますが、それがゆえによりかっこよく見えることもあると思いますよ。


ー キャリアはどれくらいになりますか?

山口 : 2013年3月です。イベントもはっきり覚えていて、先輩たちが長年やってこられたイベントのオープニングだったんですけど、まだお客さんの入りもほとんどなく、先輩たちばかりだったのですが、逆にそれが物凄く緊張しました(笑)お客さんに見られるより、知ってる人に見られる方が、よっぽど緊張しますね。


ー ご自身のキャリアの中で思い出に残っているパーティはありますか?

山口 : なかなか難しいですが、思い出に残っているという意味では、さっきのスタートした最初のイベントもそうですし、あとは、今では日本のトップDJとなったYAMATOさんが来てくれたイベントが思い出深いですね。YAMATOさんは北陸初というのもあり、かなり盛り上がりましたし、プレイにも釘付けになり、独特のスクラッチ技法は、すぐにマネした覚えがあります。なかなかできなかったですけどね(笑)


ーここから少し幼少期のお話なんですが、先ほど昔から音楽が好きとありましたが、学生時代は何をされていたんですか?

山口 : 中学生に上がったころは、コピーバンドをやっていました。音楽が好きな人なら誰もが通る道と同じですよ。王道といえば王道ですよね。担当はヴォーカルでした。歌には結構自信があって、そのせいか高校では合唱部に入りました。


ー 高校時代は合唱部っていうのは珍しいですね。

山口 : そうですね(笑)本当は軽音楽部に入りたかったですけどね…ま、色々と上下関係もあって、合唱部になりました(笑)実はその時に音楽の先生が誘ってくれたのがきっかけだったんですよ。なんか、拾ってくれたというか誘ってくれたのもあってか、結構頑張っていましたよ。県大会や地区大会、定期演奏会ではミュージカルにも挑戦し、県大会では3年連続で金賞を受賞し地区大会に出場と結構頑張りました。

ー そうなんですね!意外でした(笑)本当に音楽が大好きなんですね。もしかして、そのままそっちの道へ…なんて選択肢もあったんですか?

山口 : その道とかは考えてなかったですけど、もうこの頃から音楽はずっと何か携わってたいなとは思っていました。実際にやってたのは合唱なので、それについては声変わりがきっかけで辞めていきました。あくまでも部活動という内容でしたし。それが変わって今はDJをずっと続けているっていう感じですね。

ー なるほど、そういう経緯があったんですね。それだけジャンルレスで音楽が大好きだったんですね。何かご家族もそういうお仕事だったりするんですか?身近に影響なのどが関係しているのかと…。

山口 : いや、全然そんなことないです(笑)どうしてこんなにも興味を持ったのか分からないですが、今みたいにネットもまだだったので自分でも不思議です。強いて言えば、姉の旦那さんがダンスをやられていたり、いまではMPCプレイヤーだったりと音楽に携わっています。

ー ここからは現在9年目のキャリを迎えて、思う事などをお伺いしたいのですが、些細なきっかけから始められたDJですが、辞めたいと思うことはなかったのですか?

山口 : たまに聞かれるんですが、ほとんどないですね。1度だけ本当に色々と考えた時がありましたが、後にも先にもその1回だけですね。その程度です。結局DJがかっこいいし、好きだし、音楽が好きで、そのカルチャーが好きというのが影響しているので、音楽を楽しむことはずっとしていたいたですね。もちろん、趣味嗜好は変わる気がしますが、できる限りこれからもDJは続けたいですね。もちろん、妻や子どももいるので、迷惑をかけない程度にとは思っていますが(笑)

ー 今の富山のハウスシーン・クラブシーンについて教えてください。

山口 : 富山だからというのは、あまりないと思いますよ。むしろ、東京・大阪・名古屋とかの首都圏の方がオリジナル発信してるなって思います。TVでヒップホップが表面化したみたいに、富山でもヒップホップの熱は暑いですよ。もちろん大先輩のDJも多いので、盛り上げや技術は本当に見習うことも多いです。それと引き換え、ハウスやテクノは、若手がめっきり減りましたね。2013・14年頃だとEDMが世界的にやはり、同時に機材もグレードアップしてきて、機材も手軽になったことで誰でもDJ!って言えた気がしました。別に悪いとも思わないけど、やっぱり入口が広すぎると、残る人も少ないのは寂しいですね。「パリピ」なんて言葉もあってか、クラブも盛り上がっていましたが、今はハウスのイベント自体も少なくて寂しいですね。

ー 現在も富山を拠点に活動されていますが、ローカルDJとしての想いというのはありますか?

山口 : 売れたいって気持ちは最初はすごく強く、コンテストなどにも出場しましたが、歳を重ねるごとにイベントに遊びにきてくれた皆さんが一体になって楽しんでもらえるような空間づくりを出来ればと思い、自分を必要としてくれているクラブなどの現場があればプレイしていきたいなと思います。どこに行ってもずっとフロアを沸かせられるプレイが出来るパーティーロッカーって言うよりも、フロアの盛り上がりに火をつけるようなプレイが自分に合ってるかなと思います。

ー ありがとうございます。そんなDJASHさんが見る、次の目標があれば教えてください。

山口 : 今は6月に向けて自身初のミックスアルバムを作っています。今まで無料でイベントやSNSで発信してきましたが、自分にとっては初となるアルバムなので、少しでも多くの人に聞いてみて欲しいと思います。

ー アルバム発売を控えているんですね。どんな内容なんですか?

山口 : 基本はハウスを中心にまとめています。ハウスという音楽を知らない人でも聞きやすいように意識していますし、クラブに慣れている人、DJの人も気に入ってもらえるような内容になる1枚に仕上がるように頑張っています。かなり自信作というか、長いこと聞いてもらえる1枚になると思います。ハウス全快でモード観もだしたいし、なかなか難しいところですが、欲張りすぎても…というところで調整中ですね。

ー このタイミングでの発売には、何か意味があったんでしょうか。

山口 : 特に意味はありません。たまたま声をかけてもらったのが今だったというだけです。中学でバンド始めた時も、高校で合唱を始めたのも、DJを始めたきっかけも、誘ってもらったことが大きなきっかけとなっています。いろんな偶然の縁があってこうして形になっていることは、ありがたいと思っています。今やこの2年間エンタメは、本当に瀕死の状態だったで、今も決していいとは言えないと思います。好きなクラブがなくなるのは辛いし、寂しいことです。でも、代わりにSNSで配信することで、いろんな人がみてくれたり聞いてくれたりして、クラブに行かない人もクラブの音楽を聞いてくれたりして、それはいいことだったなと思っています。自分も少しでも知らない人にアルバムを届けられればと思って、今回受けました。いろんな思いが詰まっていることもありますが、ぜひ多くの人に聞いて欲しいと思っています。特に、全国のイベントオーガナイザーのみなさんも聞いてもらって、現場に呼んで欲しいと思います。待ってます!

ー コロナ禍で疲弊したエンタメ業界が、少しでも盛り上がって欲しいと思います。そんなアルバム発売を控えているDJ ASHさんがお薦めする2022年注目しているDJを教えてください。

山口 : 注目…本当に世界各国たくさん素敵なDJがいるのでこの人!というのは本当に選びにくいですが、世界でいえばD.O.DやRoss Couchはカッコいいですね。最近はかなり聞いています。国内と言っていいのか、日本人で言えば、NORIIさん、あとは、Addiyさんはカッコいいです。お二人とも楽曲はもちろんかっこいいし、プレイも本当にかっこいいです。クラブに行ける人は、ぜひ生でそのプレイを体験して欲しいです。

ー 最後にDJASHさんにとって、エッセンシャル(人生に欠かせないもの)を教えてください。

山口 : この質問は結構悩んだんですが、フィーリングですね。かっこよく言えば、瞬間の感性というか、そんな感じです(笑)DJもそうですが、もちろん理屈で考える時もありますが、DJも1つのカルチャーで、例えばDJだけがカッコよくても意味がなくて、デコレーション、VJ、ライティングとかそういうもの全て合わさってかっこよくなるんですよ。でもそれって、その瞬間にしか現れないものであって、それを体験した時、あ〜かっこいいなって思います。それって言葉になかなか表せないものなんですよね。だから大事にしていることと言えば、フィーリングなのかな、って思います。その都度、かっこいい、いいなって思うものをこれからも選んで行きたいと思います。

ー 唐突に突きつけられたコロナ禍での自粛生活でしたが、始まって以来、ずっと飲食店のように肩身の狭い思いをしてきたと思います。ライブハウス、クラブハウスも次々と閉鎖しては、思い出の場所がなくなったりと寂しい思いが続きました。ようやく世界に兆しが見えてきたこの夏、DJASHさんにも頑張って欲しいともいます。ご活躍楽しみにしています。今日は、ありがとうございました。